Don't lose me.

□3粒
1ページ/1ページ




「長い…っ!」







あれから私は先の見えない長い廊下を歩き続けたが、もう無理!

一体どれぐらい歩いたの!






「はぁ…疲れた」


周りの風景が全くと言っていい程変わらない…

教室も皆同じだし……ん?


私はある教室の前で止まった



「…ここって」



その教室だけ他とは違い、よく見えないが中に飾り付けがされているのがわかった

私は恐る恐る教室のドアを開けて中に入る
黒板の周りには折り紙で作ったであろう、飾りが所々に飾ってある

…でも途中なんだろうか折り紙が教卓の上に置いてある



「誰がこんなの作ってたんだろう…」


無造作に置かれている折り紙にふと、黒板を見ればいきなり赤い液体がじわりと浮かんできた


手品なんかでもない、それ

見覚えのある文字に私は目を見開いた






「…う、そ……っ」
















お帰り、アリス







たった一言だけそう書いてあった






あり得ない…
何でこんな事が

震える手で赤い液体を触れればそれは血だった




ガラッ





「…!」



音がした方へ振り向くと今一番会いたい人が後ろのドアに寄り掛かっていた



「きょ、恭弥!……っ!?」


緊張が一気に解けて安心し、駆け寄ろうとしたがそれはすぐに止めてしまう

恭弥は微笑みながら腕を広げ、おいで、と言ってる








…が、恭弥の体は血だらけで、それを私は黙って見るしかなかった




「どうしたの?おいでよ」


恭弥はさっき言った言葉が聞こえなかったと思ったんだろう、もう一回言うとまた優しく微笑んだ


「恭、弥…血、どうしたの…?」


「あぁ…これね。大丈夫だよ、風紀を乱す奴がいたから噛み殺してきただけだから」



それでもおかしい…
返り血ならまだしも、滅多に怪我なんてしない恭弥が腕やら首から血がドロリと出ている

普通に考えたら大怪我だ



「病院行かなきゃ駄目だよ!」


「大丈夫だよ」


「大丈夫じゃないよ!ほら、早く病院に…」


私は急いで駆け寄り恭弥の腕を引っ張ろうとしたが全く恭弥は動かない





「恭弥…?」



恭弥の方へ振り向くと急に抱き締められた

血の匂いが嫌でもする制服に顔を埋めるとまたあの単語が耳に入る…








「アリス…君ってやっぱり優しいね」




ポツリと言った一言


今日で何度目がわからないアリス、と言う単語


わけがわからない…










否、今はそれどころじゃない

私はさっきのを振り払うように頭を振ると顔を上げた


「何言ってるの!早く病院に…っ」


血の出ている量が半端ない…恭弥の顔色からにしてかなり危ない

抱き締めてる恭弥の腕を掴み、離そうとしたら逆に恭弥から離れた


「恭弥、血が…っ」



「アリスの真実…知りたい?」


私の話しも聞かず、フラフラで立っているのがやっとな筈なのに恭弥は笑っていた

まるで悪戯でもするかのような笑みで楽しそうに笑っていた








「アリスの…真、実…?」


「知りたいなら、僕を捕まえてごらんよ…僕だけのアリス」




そう言って恭弥の体は段々と透けていく




「恭弥っ!!」


「見付けてね…僕を」




恭弥が言った言葉を最後に恭弥はいなくなった

途端に私はその場に座り込み、顔を隠すように泣き崩れた




混乱とアリスと言う名前…恭弥が消えた理由



全部わからない…何で私はアリスなの?
何で恭弥はあんなに血を流すの?
何で消えたの?













誰か教えて…

一体、何が起きてるの?


END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ