Don't lose me.

□2粒
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「アリ…ス?」




この人は今何て言った?アリス?
…あぁ、そっか。
今のは私の聞き間違いか

そうだよ、この数分で色々あったからパニクっちゃって聞き間違いしちゃったんだ



「アリス…僕だけのアリス」



「……」



現実だった…



「どうしたんですか、アリス?」


返事が返って来ない事に不思議に思った骸さんの声が頭上から聞こえた

私は一旦離れようと試みたが、骸さんにガッチリ抱き締められているから全然動けない

仕方なく顔だけを骸さんに向ける


「あの、私アリスじゃないんです」


「何を言ってるんですか?貴方は僕だけのアリスなんです」


さも当たり前かの様に言ってるが、どう考えたっておかしいよ


「私、アリスっていう名前じゃないんです…ってか離して貰えませんか?」


「貴方はアリスですよ」


「いや、…だから……」


「僕だけのアリスなんです」


キッパリそこで言うと目を細め、またため息を一つ吐く

まるで幸せ過ぎて困ってます、みたいなウットリとした表情…


私からしてみれば、綺麗な深い赤と青のオッドアイが私をずっと捕らえている様な、…そんな不思議な感覚に段々こっちがおかしくなりそうだ



「あの、骸、さん…」


「骸、でいいです。…どうせ僕の物なんですし、」


「えっ…?」


今…不吉な言葉が聞こえた様な気が……

嫌な予感程よく当たるって言うけど正しくそれだ


骸さんの様子がおかしい



「それにアリスを…」


「む、骸…さ」























「タベるんですから」





ドサッ






「!!?」


一瞬不敵に笑ったかと思えば、傍にあった机に押し倒し、素早く私の服を脱がそうとボタンに手を掛ける



「いや…っ!」


最初は何が起きたかわからなかったが、次第に何をされるか直感で感じ取り、私は手足をばたつかせたり止めてと声を上げたが骸さんは全く聞く耳を持たない



骸さんが恐い…
あの楽しそうな瞳、口元、全てが恐い

助けて、恭弥…っ!



そうこうしているうちに、等々骸さんは私の制服の第二ボタンまで外し、首元に顔を近付ける



「い、…やぁっ!恭弥…っ」





ピクッ





骸さんの手が一瞬止まった

その隙に私は骸さんを突き放し、手元にあった携帯を持ち、急いで応接室から出て行った


突き飛ばされた骸は応接室から出て行った少女の後ろ姿を只、見ているだけだった


…雲雀恭弥、
と小さく呟き……





















…………



「何…これ……」



応接室から出てきた私は唖然とした

廊下が異常な程、長い…先が全く見えない



「どうして…?とりあえず誰か探さなくちゃ」


まだ校庭には人位いるでしょ、と思い窓の外を見れば誰もいない

窓を開けて誰かいないかと叫べば自分の声が少し響くだけで自分以外の音も声も何も聞こえない



「…おかしいよ、これ」


まるで時間が止まっているみたいで自分が世界より進んでいるような気分になる


「…しまった、こんな落ち込んでいる場合じゃない」


気を取り直し、私はこの先の見えない長い廊下を歩き出した


END

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