Don't lose me.

□1粒
1ページ/1ページ




アリスよアリス
僕/俺/私の…アリス



君は僕を
俺を
私を



満たしてくれる?


さぁおいでアリス。
君だけのこの世界を君はどういう風に変えてくれる?

僕/俺/私達はアリスが望むままに生きるよ








だけどね、

君がシナリオを間違えればこの世界は歪んで君を元いた世界へ帰れなくなっちゃう

何故かって?
僕/俺/私が君を欲しがってしまうから
アリスを独り占めしてしまうから
アリスをぐちゃぐちゃにしてしまう


だからこれだけは気をつけて。

シナリオだけは間違えないでね?
そしたら後はアリスが望むままに全てを手に入れられる



簡単でしょ?
さぁ、おいでアリス。

僕/俺/私と楽しい事シよう?

























並盛中にオレンジ色の光がガラスを通して少女を照らす

照らされている少女は応接室で一人頭を悩ませていた




「ハァ…終わんない」


机の上にある大量の資料の中から一枚手に取り、窓の外を見る


「もうこんな時間だ…恭弥は風紀の仕事があるから代わりにこの仕事をやってはいるものの…」



パサリ、と資料を置き頬杖を突く


「結構大変だなー…」


恭弥はそんなのやんなくていいよ君には難しいし面倒だからね、とか言ってたけど、普段から忙しく風紀の仕事を頑張っている彼を見ていたら、たまには彼を楽にさせたい、手伝ってあげたい気持ちが膨れ上がり、半ば強引に彼の仕事を引き受けた

普段こんな仕事に慣れていないけど、彼の為だと思えば頑張れる






…言っておくけど、私と恭弥は“恋人”とかいう甘い関係ではない

幼なじみみたいなものだ
…頼れる存在、かな。必要以上に近付かないし、離れたりもしない
困ったらお互いに助け合う


…まぁ、殆んどは私が助けて貰ってるんだけどね






キーンコーンカーンコーン







「やばっ…もうそろそろで学校閉まっちゃうじゃん」


私は手際良く資料をまとめ、自分が帰る事を恭弥に連絡すべく鞄から携帯を取り出し、画面を開く



「えーっと…恭弥、恭弥…っと、あった」



ガチャ



「…ん?」


突然ノック無しに応接室のドアが開き、恭弥か見回りの先生が来たのかと思い携帯から目を離し、顔を上げればそれは予想を反する人だった



その人はここの学校の生徒ではない事がわかる…だって服装からにして違うからね


「…えっ、何の用ですか?」


とりあえず一般的な質問をしてみた
こんな時間にここに来たからには何か用があるでしょう



「探しましたよ」


「…はい?あの、恭弥とかに用があるんじゃ…」


「貴方を探したんですよ」


「あのー…ご用って一体…」


「本当大変でしたよ、貴方を探すのは」







は、話が噛み合ってない…っ!!

まず、ツッコミ所が多すぎるよ!
何…?恭弥じゃなくて私を探してた??私貴方の事なんて知らないよ!?


「すいません、どちら様だかわからないんですが…」


「僕ですよ、骸です」


ニッコリ紳士的に笑う骸さんと言う人はゆっくりと私に近付いて来る

と、同時に私は反射的に椅子から立ち上がり、少しずつ後ろに下がる


…なんだかこの人怖い



「やっと見つけましたよ」


「わた、私…貴方の事知らないんですが…」


そうこうしている隙に遂に背中に壁が付き、目の前には骸さんとなってしまい、私は目線を下へと向けた


今見えているのは骸さんの足だけ




「…はぁ、」



骸さんは呆れているのだろうか…?私が忘れてしまっているせいか

なら、怒っているんじゃないかと申し訳ない気持ちで一杯になっていたら不意に抱き締められた


そして一言、小さな声で呟いた









「あぁ…お帰りなさい、僕だけのアリス」






小さいが確かに聞こえた




『アリス』
という聞き慣れない名前に…



END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ