小説

□幼なじみ
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「はぁっ!?お前それ本気で言ってんの?」
いつもの様に俺・健二の部屋で、幼なじみの祐樹とゲームをしている時の話しだ。
この日は祐樹が新作のゲームを買ってきたというので、俺はワクワクしていた。
同じ高校に通う俺達は、学科は違うが帰りは自然と一緒になって帰っている。毎日どちらかの家に行っては、ゲームをしたり、話をしたり、時には女の話もしたり。
しかし今回俺の家に集合したのは女の話の為じゃない。
新作ゲームが俺達を待っているのだ。
これは今すぐやらなければならない…!
そう思い、俺はすぐにゲーム機の電源を入れると、すぐさまソフトを設置した。俺達が待ち望んでいたソフト。この時をどれだけ待った事か――!
俺はその期待を胸にコントローラーを握りしめた。
すると祐樹はいきなり立ち上がり、ゲーム機の電源を切ってしまった。
「!!…お、お前何やってんの!?」
今から待ち望んだソフトが出来るというのにコイツは何をやってんだよ!
「おい祐樹!馬鹿かお前、つけろよ電源!」
「無理。」
「ぁあ?何訳わかんねー事言ってんの。早くつけろって」
俺はとても子供染みた事で機嫌をそこねている。
分かっているが、ムカつく。
てゆうか、俺が悪い訳じゃねんだし。てか祐樹!お前は何をやってんだよ!
「祐樹、お前だってやりたがってたじゃん!早くつけようぜ」「いいから聞けよ健二」
「それ今じゃなきゃ駄目なのかよ。後にしろよ」
「いいから」
「でもゲーム…」
「頼む、健二」
見ると祐樹は変に深刻な顔をしている。
「…祐樹?どした?」
いつも明るくて馬鹿な祐樹がこんな顔をまずしない。
こんなのは久しぶりだった。
しかし、たまに悩みがあると、この顔を見せる。
「…健二…あのさ」
正直俺は、コイツとの関係が気に入っていた。俺にしか見せないであろうその面を拝めるなんて…祐樹はどうしたんだろう。「…俺さ、この前告られたの。さやちゃんに。」
「え!…お前モテてんなー、これで何人目よ?このド変態ヤロー!」
祐樹はモテる。誰に対しても当たり障りのない性格に色素の薄いルックス。見た目的には遊んでいそうだが、その中身とのギャップで余計モテてているのだ。
「で?さやちゃんと付き合ってんの?」
次から次へと変わる彼女。
モテるのはいいが、祐樹の場合は度をこし過ぎている。
何とも憎たらしい。
「付き合ってるけど…」
「…まじかよ」
告ってきた女の子と付き合わなかった事はまずない祐樹。
まぁ、頷けるな。
しかし祐樹は本気で人を好きになった事がないらしい。街を歩けばあの子可愛い、エロい格好いいな〜、などアホな発言ばかりしているから、それもそのはずだ。
「で?話って何。まさかのろけ?」
のろけならば時間の無駄だ。俺はゲーム機の電源を入れようとした。
「のろけじゃねーしっ聞けよ健二!」
俺の行動を見て焦った祐樹は、素早く俺の肩を引っ張った。
「聞けよ真面目に!」
「分かったって。離せよ、いてーな。…で?何、話って」
そんな焦んなくても聞くっつの。
俺は祐樹の方に体を向けると、アグラをかいて座り直した。
「くだんねー事だったら千円な。」
「うっせーな。真面目だよ。…あのさ健二。今から言う事信じろよ?頼むから信じろよ?」
「おー何」
一体何の念なんだよ。
ジッと祐樹を見ていると、少し言いずらそうにしている。訳分からん。
すると、祐樹は息をスゥッと吸うと言った。
「たたない。」
「あ?」
「チンポたたん」
「…それ真面目で本気の話?くだらん。殺すぞ」
「いや!本気なんだって!」
まさか、こんな話だとは。
本気で呆れてしまい、俺は手を出した。
「千円。」
「違うって!まだあんだよ続きが!」
「じゃあ何だよ。」
「いや、あのな…この前、さやちゃんとラブホ行ったんだよ。そしたらたたなくって。」
「だから、ただのインポだろ」
「いいから聞けっ!それで仕方なくさやちゃんとヤッてる時も全然たたなかったのにさ、何故かお前のエロいとこ想像したらたったんだよ!」
「ぁあ!?」
「しかもさやちゃんだけじゃなくて他の子の時もそうだったし!どう思う!?この現象!」
本当に聞いて呆れる。
…今度は別の意味で。
「何それ?何で俺なの。エロいってどんな感じの?」
「…一緒にオナッた時のとか」「……あー…」
昔から一緒だったから何をするのも大概一緒で、始めて一人でオナる時も祐樹と一緒にしたのを覚えている。
それからたまに一緒にAVを見ながらしたり、二人のを同時に掴んで擦ったり。
でも最近してないな。祐樹は何を思ってオナシーンを連想してたたせたんだろう。
「女とヤリすぎて普通じゃ飽きたんじゃない?」
「違う」
「…何で分かんの」
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