おお振りテキスト

□エロティック
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和さんは優しくて頼りになる。信頼できる。和さんは俺をエースにしてくれた。だから好きだ。だから嫌われたくない。だから俺は和さんの前では、理想のエースを演じる。演じきれてるかはわからないけど。

利央はバカで可愛い。俺を頼ってくれる。準さん好き、と笑顔でいってくれる。だから好きだ。だから嫌われたくない。だから俺は利央の前では理想の先輩を演じる。これも演じきれてるかはわからないけど。

二人とも好きで大切だ。だけど二人といると、たまにひどく息苦しい。それは俺が、俺じゃない誰かを演じようとする時だ。でも本当の俺ってなんなんだろう。和さんや利央の前にいる俺だって、マウンドにのぼるエースの俺だって、本当の俺のはずなのに。てゆうか俺ってなんだ?
延々止まらない思考にまたか、と頭の隅で思う。気持ち悪くなってきた、いつもと同じだ。

「しんご、さん」
「なに、どーした?」
「気持ち悪い」
「吐くか?」


隣にいるこの人のことを俺は特に好きではないと思う。じゃあ何で一緒にいるんだ。それはこの人には気を遣わなくていいから。それだけか、と聞かれたらそれだけではないけど、最大の理由はそれだ。

「ここで吐いてもいい?」

慎吾さんにしがみつきながら言うと、少しの間があってから、準太ならいいかなと言われた。変態。この人は俺のことを心底好きなんだろう。


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