(財前side)
こいつは変わったやつや。
訳分からん
「光くん、お笑いって命懸けなんだね」
「は?」
登校して席につくなり溜め息をつくれいな。
「私、やっぱりお笑いは見てるだけでいいやぁ」
そう言って授業の準備を始めた。訳分からん。聞くのも面倒くさいからほっとくけど、ほんま訳分からん。さすがユウジ先輩の妹や。ユウジ先輩もホモな辺りが訳分からんし。ちゅーか、きもい。
「そや。今日、部活終わったら謙也さんちでたこ焼きパーティーやるみたいやで。お前の歓迎会」
「ほんと!?」
「おん。だから昼ご飯食いすぎるなや」
「オーケー!」
「嬉しいなぁ」とニコニコしているれいな。初めて会ったとき、こいつのことなんてユウジ先輩の妹としか見とらんかった。妹がおるってことに驚いただけで、特に興味はなかった。でも一緒に行動するようになってそれは変わった。こいつは気が利くやつや。俺が授業中に寝とったら俺の分もノート書いといてくれるし、先輩らに後片付けさせられてるときはさりげなく手伝ってくれる。せやからいつのまにかこいつに甘えとる自分がいた。お礼ってわけやないけど、俺も何かしてやりたいと思った。こんなん初めてや。
「光くんも来てくれるの?」
「暇やしな」
「やった!白石さんとか小春さんとかも来てくれるのかなぁ。あとお兄ちゃん!」
「お前、ほんまお兄ちゃん好きやな」
「まぁね」
なんや、むかつくな。
「ブラコン」
「うるさいっ!」
ポカッと頭を叩かれた。全然痛ないわ。
「あ、今日も一緒にお昼ご飯食べよ?」
「おん」
怒ったりニコニコしたり、忙しいやつ。でも一緒にいて嫌な気分はせぇへん。むしろ、謙也さんなんかより全然マシや。
「…謙也さんちに行くとき、自転車の後ろ乗せたるわ」
「うん、ありがと!」
謙也さんち行ったら部屋荒らしたろ。あーあ、早く授業なんて終わってしまえばええんや。
(20100426)