♪Story♪

□価値観
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例えば某有名ブランドの財布、バック。高いのに人気のあるブランドのマスカラ、素材百パーセントの意味を示す白タグのついたマフラーだな。そこらの雑貨屋の小物なんて彼女、恋人に渡す物じゃない。ブランド品じゃないと、今時の女子高生は喜ばないぞ。と、休み時間に閃の質問に何となく答えたらそうハッキリと言われた。
普段なら閃の言葉等気にも止めないのだが、流石に今回は気にしてしまった。
しかし、その言葉ももう遅い。もう手にしてしまっているし、今日はもう当日だ。
「…良守」
「ん?何、限?」
学校の帰り道、楽しそうに今日の出来事を話す良守を遮り、限は鞄の中に手を突っ込み、一瞬躊躇した後それを良守に突き付けた。
反射的にそれを受け取った良守はキョトンとしながらそれと限を交互に見つめる。
「……誕生日、だろッ」
恥ずかしくて、とても素っ気ない言い方になってしまったが良守は限の言葉を聞いてぱぁっと顔を輝かせた。
「プレゼントッ?マジ!?ありがとうッ!…開けて良い?」
「…あんまり高い物じゃねぇけど……」
ガサガサと包み紙を開ける良守にポツリと呟くと、良守はまたキョトンとした。
「高い安いとか、俺気にしねえよ。学生だもん、大金持ってるわけねえじゃん」
お前の誕生日にやった物なんて千五百円だぜ?と、笑いながら正直に言った良守の言葉に限は思わず笑ってしまった。
「やす……。俺の方が高いな。千八百円だ」
「三百円の差で威張るなよ!…でも、嬉しいぜ。ありがとうッ」
包み紙の中から出て来た黒地に少しだけ桜の模様がかかれた和柄の手袋と、アンティーク調の赤いラインストーンのついた飾りピンの合計は千八百円。ブランド品じゃ無くても、喜んで身につけてくれて、とても似合っていて笑ってくれる。
思った以上に笑いながら喜んでくれる良守に、おまけのプレゼントに不意打ちのキスをする。
それだけで、女の子にとってどんなプレゼントも何十倍も価値が上がる事を限は知らない。

End
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