♪Another Story♪

□Show time
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 「オペラ?」
「そう。マリアとドラクゥっていうオペラ。ジタン、役者もしてるって聞いたから知ってるかなって」
オニオンに話し掛けられ、ジタンは珍しく視線を下に向け会話をしていた。
 「ティナが居た世界にあったオペラなんだって」
オニオンの言葉にジタンは微笑ましい気持ちが沸く。
 オニオンはティナをとても大切にしている。
子供らしい純粋でまっすぐな気持ちは感じて気持ちの良いものである。
 「ティナがちょっと疲れてるみたいだから、話だけでも喜ばせたくて。ジタン知らない?それでなくてもジタンの元々居た世界は皆の世界と共通点多いし」
確かにジタンの居た世界は他の仲間達が居た世界と共通点が多い。
通貨の単位や言葉、文字はみな共通しているが、他の事も度々同じ、または似たようなものがあった。
 ジタンはオニオンから聞いたオペラの題名を頭の中で反芻する。
舞台は数多くこなしていたが、オペラはジタン自身は演じた事がない。
それでもなんとかしてオニオンの願いを叶えてやろうと観た事がないか、聞いた事がないかと深く考える。
 不意にアレクサンドリアの城で以前、あの世界の仲間であるダガーが見つけた古い台本と楽譜を読んだ記憶が浮かび上がった。
 「オニオン、それって歌詞に『愛しの貴方は遠い所へ』ってあったかわかるか?」
一番の見せ場のシーンで覚えていた歌詞を言うと、オニオンは年相応の明るい笑みを浮かべた。
 どうやら正解を引き当てたらしく、ジタンは内心安堵する。
 「それだよ!ティナが教えてくれた歌の歌詞そんな感じだった」
「良かった!じゃあ、教えてやるからティナと話して来いよ」
一度読んだ台本は大抵覚えているので、ジタンはオニオンとティナが楽しい会話が出来るようにと詳しく教えようしたが、それを不意に改めた。
それよりも面白い事が浮かんだのだ。
 「オニオン、みんなでオペラやるか?」
「え?」
「本物の役者がいるんだぞ。ちょうど良いだろ。みんなに声かければギリギリ役者もそろえられる。…ティナ喜ばせたいんだろ?」
ジタンの言葉に、オニオンは目を丸くした。


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