♪Another Story♪

□89♀でFF名シーンを書いてみよう
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FF5より
ファリス→ジタン♀
シルドラ(海竜)→スコール
スコール非人間です。







 「イヤだッ!イヤだぁスコール!!いくなぁぁッ!!」
涙が溢れる。
視界がぼやけ見たいのに姿を見る事が出来ない。
 幼い頃からずっと一緒にいて実の家族を知らない自分にとって兄弟とも親友とも言える彼が徐々に仄の暗い海に沈もうとしている。
 美しく巨大な銀色の身体には無数の傷が付き、夥しい血が流れ海水に薄まり消える。
いつもは力強く、船の原動力になりどんな波風も逆らい、そこらの海の魔物も蹴散らす彼の力はもう残っていないのだ。
 暴れ海竜と恐れられた彼も自分には心を開いてくれ、力を沢山貸してくれた。
女だと馬鹿にされ、仲間の海賊達に認めて貰えなくても彼だけは自分に寄り添ってくれた。
力を認められ、海賊の頭になった自分にもずっと傍にいてくれた。
 今回も自分達を強大な魔物が潜む大渦を無事に乗り切り運んでくれると信じていた。
だが、自分達がトドメを刺し損ねた魔物が襲い掛かって、そんな自分達を彼が身を呈して守ってくれた。
魔物と激しく戦い、傷付き力を消耗し、渦に飲まれながらも自分達を安全な岸まで運んでくれた。
 最後にジタンを岸に降ろすと、彼は悲しげな声を上げ、海に沈んでいった。
もう一緒にいる事が出来ないと、別れを告げるかのような声と普段見る事のない異質な沈み方にジタンは取り乱していた。
「スコールッ!スコールゥ!!」
「止めろッ!お前も一緒に海に沈む気かッ!?」
沈み行くスコールに駆け寄ろうと海に足を踏み入れたジタンを慌ててバッツが羽交い締めにして引き止める。
 巨大な身体が水に沈むだけでも渦が発生していて、それに引き込まれたら上がってはこれない。
暴れるジタンを必死に引き止めるバッツを無視し、ジタンはがむしゃらにスコールに近付こうと手を伸ばす。
「離せよぉッ!!スコールッ!イヤだぁぁぁッ!!スコールッ!スコォールゥーッ!!」
 泣き叫ぶジタンの声に殆ど沈んでいた銀色の身体が僅かに反応を示した。
力無く閉じていた瞳が、ゆっくりと開いたのだ。
銀色の鱗に覆われ、赤い血の流れた身体に優しい海色が足される。
 弱々しく開いた海色は、泣き叫び暴れるジタンを見つめ、目尻を下げたかのように見えた。
表情のない海竜が微笑んだかのように見え、暴れていたジタンも、それを押さえていたバッツも一瞬動きを止める。
 沈みかけた銀色の身体がふわりと淡く輝き、巨大な身体が消え代わりに小さな光となり浮かび上がった。
 思わぬ光景に、皆呆気に取られその小さな光を見つめた。
呆然とするジタンに光はゆっくりと近付き、くるくるとジタンの周りを飛ぶ。
その光から慣れ親しんだ気配を感じ、ジタンがゆっくりとそれに手を伸ばすと、光はジタンの手の上に降り立つ。
 ふわりとまた光が輝く。
ジタンの手に光の中から手が現れ、重ねられる。
淡い光を放つその手は人間の男の手。
徐々に光から浮かび上がったそれはジタンより、そばにいたバッツよりも背の高い人間の男に見えた。
 整った顔立ちは表情らしい表情はないが、優しい気配を放つ海色のスッとした目付きは見覚えがあった。
 「…スコール?」
『…泣かないでくれ。まだ、一緒にいるから。ジタンの力になるから』
何処かに反響しているかのような低い声は、海竜の鳴き声に似た気配があった。
 ジタンの顔をぐしゃぐしゃに濡らしていた涙を大きな手で拭い、海色の瞳が細められた。
『まだ、俺はジタンの力になりたい…』
 ふわりと、男の姿がまた小さな光となりジタンの胸に吸い込まれるように消えた。
温かい気配が全身に満ちた感覚を覚え、ジタンはまた目に涙を浮かべそっと自分の胸を押さえ微笑んだ。
「…ありがとう、スコール。ずっと、一緒だぞ」
胸の中で海色の瞳が微笑むのを感じた。


FF5よりファリスとシルドラの泣ける名シーンを抜粋。
イベント二つ組み合わせました。
大渦のシーンでシルドラはファリスやバッツ達を助け海に沈み、死んだものと思われていましたが、再びバッツ達の危機に現れ助けてくれます。
しかし、今度こそ死んでしまいますが、大好きなファリスと一緒にいたいという想いから召喚獣になってそれからも助けてくれます。
原作では人間化しません(笑)
捏造シーン結構ありです(^_^;)

こんな感じで書いていけたら良いなと思います。

駄文読んで下さり、ありがとうございましたm(_ _)m


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