♪Another Story♪

□獅子の見る夢
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 一人歩く。
目的の物を捜し求め、ただ歩く。
自分の信念を貫かなければ、クリスタルは手に入らない。

 一人で多数のイミテーションと戦い、一人で仮眠を取る。
一人での行動は気楽だが、いつも危険が付き纏う。

 仲間から渡されたお守り。
それはいつもポケットに入っており、時折出してスコールは眺める。
手の平からはみ出る程の大きさの、幸運のお守りだという黄色い羽。

 鳥は旅をするものを導く神の化身だと何かで聞いた事があるが、それをお守りだというのはなんとも彼らしい。
それを簡単にスコールに渡す気楽さも、彼らしい。

 それ以外にも一つ、スコールはお守りを持っていた。

 それは自らの武器。
普段は使い慣れたガンブレードだが、秩序の女神を借りると獅子の意匠を凝らし、透き通る蒼い刀身の武器へと変ずる。

 獅子は自分の目標。孤高の強さを象徴する、自分の世界では架空の生き物。
獅子は武器以外にも、自分が身に纏う衣服や飾りにも取り入れているが、蒼色は違う。

 蒼色は静寂、安らぎを現す。
熱くなる自分を沈める為のもの。
冷静に状況を判断し、生き残り、また仲間の元へ集う為のもの。

 鳥が高く羽ばたく、空の色の瞳の仲間を現しているようだった。

 見た目一人だが、お守りを持つとスコールは一人ではなかった。

 今日もスコールは一人で仮眠を取る。

 浅い眠りで見た夢は、抜けるような青空の下で獅子が眠り、鳥がそれを見守る優しい夢。

 スコールの寝顔が、僅かに緩み微笑んだ。


END
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