♪Another Story♪

□青・蒼・碧
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 仲間達と打ち解けてからはスコールは人と目を合わせられるようになったように感じられた。
 それまではどこか壁を作っているかのようで、目が合わさってもいまいち視線が交わっていないような、もどかしい感覚をジタンは覚えていた。
打ち解けてからはそれもなくなり、こういった関係になってからはより深く視線が交わる。
 少し長めの焦げ茶色の前髪を横に流すと濃い青色の瞳が良く見えた。
 「…何だ?」
ふとした会話の切れ目に、ジタンの手袋を脱いだ白い手が伸びてスコールの髪を横に流す仕種に怪訝な表情を浮かべる。
「この方が顔良く見えるじゃん」
ニコリとジタンは笑い、スコールの表情がより見えるように前髪を両脇に流す。
 切れ長の青い瞳、形の良い額、斜めに付いた傷痕、鼻梁に頬に口。
今は少し顔が赤らんでいる。
あまりこういった仕種にはなれていないのが伺えた。
 「スコールの目は青いな。深い海みたいな色」
瞳をジィと覗き込むジタンはまた微笑みスコールを見つめて来る。
今までこの世界でも元々自分の居た世界でもこんなにマジマジと顔を見つめられた経験の少ないスコールは恥ずかしさから顔が赤らむ。
 「ジタンの目も青いだろ。淡い色の青」
他の仲間にも青い瞳はいるが、ジタンの瞳はその中でも特に淡い色をしている。
 光の当たる場所にいるとキラキラと輝き、夏の晴天の空のような色になり、暗い場所だと朝焼けが来る直前の紫の混じった空のようにも見えた。
淡い色がそう見せるのだろう。
自分の瞳の青は濃い色でそこまで顕著な変化は見せない。
 「俺とは違う、沢山の表情を持った空の色だ」
無意識にそんな言葉が出てしまう、見つめられると包み込む広さを持った空色の瞳。
スコールも手を伸ばし、額の中心から分けている真っ直ぐなジタンの金髪の前髪を両脇に退けた。
 瞳が空色なら髪は太陽の輝きを持った金色で、ジタンは空の化身か何かに思える。
日には焼けているが元々肌が白いジタンはそう思うだけで神であるコスモスと同じ肌に見えて神の類にも見えた。
人ではなくジェノムと言う種族なのもそれを際立たせる気がした。
 ジタンはスコールの言葉と仕種に一瞬きょとんとした表情を浮かべる。
すると今度はなんとも親しい雰囲気になり、優しく明るい親しみを覚える。
ここまで雰囲気がかわる相手も早々いない。
 ジタンの表情はすぐにまた満面の笑みに変わった。


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