♪2nd Story♪

□きずな
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その痛みは帰路に着いても身体の中で何かが蠢いているかのように激しく残っていた。
 変化を解いて元の姿に戻っても、真っ直ぐ立つ事もままならない状態で、帰り道の間良守と心配してついてきた正守に支えてもらいながら帰って来た。それでも家の門に着く頃にはなんとか耐えられる程度の痛みにはなっていたので、家族に余計な心配をかけないように付き添ってくれた正守を帰し、平然を装っていた。
良守は自分を庇ったから限が痛みに苦しんでいるとずっと自分を責めているのはわかっていた。それでも家に入る前に何でもないから平気だと伝え、いつも通り笑っていろと言いながら微笑むと良守は微笑み返しながら頷いてくれた。
 帰宅し、装束から普段着に着替えて子供達と戯れている時は普段と何も変わらない笑みを良守は浮かべていたが、そこは夫婦というべきかどこか無理して笑っているのに限は気付いていた。
 自分も僅かに残る痛みを堪えながら子供達に笑いかけているのだから同じだが、家族が寝静まった後にもう一度安心させるように話をしなくてはいけないと、思っていた矢先に子供達に指摘されてしまった。
 「…痛そうだったか?」
「うん、とーしゃは。かーしゃはなんか落ちこんでるみたいな感じしてた。じーちゃやおーじぃやとしにぃはわかんなかったみたいだったけど」
誠はそう答え、もう一度限を見つめながら「いたい?」と訊いてくる。
 限は胸の中に何か温かいものが込み上げてくる感覚を感じた。
誠と同じように心配そうに見つめてくる快を片手で抱き、もう片方の手を伸ばして誠も同じように快の隣に抱き寄せ、強く抱きしめた。
「…平気だ。もう痛くない。良守はすぐに元気になる。安心しろ」
「…んと?」
抱擁が苦しいのか、限の腕の中でもそもそと動きながら快は限の顔に手を伸ばし、小さな手で限の顔を挟みながら訊いてくる。
 限は自然に浮かべられるようになった微笑みを浮かべ、二人に頷いた。
「本当だ。明日起きたら、いつもの元気な良守だ。俺ももうどこも痛くないから、安心しろ」
「…あいッ」
「う」
 やっと安心したように笑って頷く二人の小さな額に自分の額を押し当て限は微笑み、二人に言う。
「良い子だな、二人共。…ありがとうな」
二人は限のスキンシップに笑い声を上げながら、ぐりぐりと小さな額を限の額に押し当て返した。


End
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