永遠を貴方と

□十二話
6ページ/6ページ

「少華さんッッ!!」

美朱の声にハッとする。

「私たちと一緒に来て!
生き返らせて欲しい人がいるの!」

“翼宿”――

彼が居ないと朱雀は呼び出せない。

紅南国の平和の為にも、唯を取り戻す為にも――

自分の気持ちをグッと押し込めて、顔を上げた。

「困ります…。
そうして差し上げたいのは山々ですが…私はこの村を出ると力を失ってしまいます」

申し訳なさそうに美朱を見る少華さん。

「じゃあ翼宿をこっちに連れてくるわ!
棺ごと幻ちゃん達に運んでもらう!」

そう言って飛び出した美朱を慌てて追いかける。



「ちょッちょっと待って美朱ッッ!」

ゼイゼイと息をしながら先を行く美朱を追いかける。

「月奈、あんた大丈夫?!」

心配そうに私を見る柳宿に私は「大丈夫」と力ない笑顔を浮かべた。

「美朱!一旦引き返しましょ!」

私を気づかってくれてるのだろう。

柳宿は美朱に声をかける。

「美朱、周りの景色もおかしい。
道を間違えたのやもしれぬ」

星宿の言葉に美朱は足を止めることなく言った。

「そんな暇はないわ!
柳宿は月奈ちゃんを連れて一旦村に戻って…ッ」

「美朱?」

辛そうに息を吐きながら話す美朱に違和感を感じた。

ズル――

刹那、崩れ落ちる美朱に目を見開く。

「美朱?!!」

慌てて駆け寄ると、美朱はハァハァと辛そうに息を吐く。

「熱??」

美朱の額に手を当てると通常よりもはるかに熱い。

「いかん!すぐ村に――」

そう言って星宿は美朱を抱えて立ち上がる

が――

ヒヒ―ンッッ!

馬の鳴き声に私達はそちらにバッと目を向けた。

「な―ッッ?!!」

ズブズブと地面に飲み込まれる馬。

そして地面から現れた“もの”に私は涙を流した。

「ゾンビ――――――――ッッ?!!!!!(泣)」
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ