永遠を貴方と

□十二話
5ページ/6ページ

「……すみません」

フラフラと彼女を背負いながら歩く美朱。

「平気!平気!」

「ごめんね、美朱…」

謝ると美朱は「大丈夫!」と笑った。

本来ならぶつかってしまった私の責任。

私が背負うと言ったが、みんなに猛反対されて、結局美朱が背負う事に。

ちなみに私は柳宿に支えられてる。

初め、背負われそうになったが、そこまでして貰うのは気が引けて、全力で断った。

柳宿は不満そうな顔をしていたけれど。



「あぁ!少華さん、来て下さったんですね!」

彼女が言う家まで来ると、夫婦であろう男女が真っ赤にした目で私たちを出迎えた。

ベッドには横たわるひとりの男性。

「柳宿…あの人…」

感じた異変に私は柳宿の袖をクイッと引いた。

「……死んでるわね」

血の気の失せたその真っ白い顔は死人のそれ

「苦しみ出したと思ったらあっという間に…」

目頭を押さえながら言う女に、少華さんは微笑んだ。

「大丈夫よ。
任せておいて」

彼女…少華さんは何をする気なのかと見ていると、私たちは目の前の光景に目を疑った。

少華さんは横たわる死者に口付けると、男性の真っ白だった頬に赤みが差した。

「なッッ!!」

何事もなかったかのように息を吹き返した男性に、私たちは言葉を失った。

「………ッ」

また強みが増す。

気持ち悪くて立っていられない。

「これは一体…」

「たいしたもんじゃ…ここ1ヶ月原因不明の病が流行ってな。
高熱のあと体の一部が麻痺してしまう。
話では妖怪物の怪のたぐいの仕業らしく医者では治せんのじゃ。
じゃがあの少華さんは病は治せぬが、ああして死者を生き返らせることが出来る。
しかも生前の元気な状態に戻るんじゃ。
病に苦しむぐらいならいっそ死んで生き返らせてもらう方がどれほど良いか…」

おじいさんの言葉に私は顔をしかめた。

生き返らせてもらえるから…だから命を諦めるの??

今すぐ怒鳴りだしたい気持ちをグッと抑え込んだ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ