永遠を貴方と

□十二話
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「じゃあみんな元気でね!」

次の日の朝、私達は噂の村に旅立った。

幻狼達に手を振る美朱。

柳宿の馬に跨ると、ふと視線を感じて振り返った。

(…幻狼?)

ジッと私を見つめる幻狼を不思議に思い、見ていたが柳宿が私の後ろに座った為に遮られてしまった。

まぁいいかと思い、前に向き直すと、馬は歩き出した。





程なくして私たちは噂の村に足を踏み入れた。

蘇りの村――

胃がムカムカする。

何かが込み上げてきそうになって、口元を手で覆った。

「月奈?どうしたの?」

口元を覆った私を見て柳宿が心配そうに私を覗き込む。

「やだッッあんた真っ青じゃないッッ!」

柳宿は私を見てサッと顔色をかえた。

「だ…いじょうぶ」

心配かけないように笑ってみせたが、真っ青な顔では全く効果がなかった。

「どこか休める場所を探そう」

星宿がそう言ったとき、私はフラリとよろけた。

ドンッ

「きゃッッ!!」

よろけた瞬間、ぶつかったものが人だと気付き、慌てて顔を上げた。

「ごッごめんなさいッッ!!
大丈夫ですか?!!ι」

「え…えぇ…」

「大丈夫?月奈?!」

柳宿が私の手を引いてくれたので立ち上がる。

「あなたも」

柳宿は私の服についた砂を払うと、地面に座り込んだままの女の人に手を貸した。

「あッッ!!見て見てこれッッ!!!!」

美朱がズイッと太一君から貰った玉を突き出した。

そこに浮かび上がった“癒”の文字。

「この村に七星士が居るってこと?!」

「もしかして、噂の力を持つ人のことじゃない?」

「やっりい!!
一石二鳥じゃん!」

喜ぶ美朱とは反対に、私は顔を曇らせた。

その力が七星士のものだとしたら…

本当に…?

浮かんだ考えにブンブンと首を横に振る。

そんなはずない…と自分に言い聞かせて。

「あ!あなたどこ行くの?!」

美朱がフラフラと歩く女の人を見て慌てて止める。

「そんなフラフラしてたら危ないわよ!」

「でも私すぐに揚さんのところへ行かないと」

困ったように言う彼女に美朱は提案した。
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