永遠を貴方と

□十話
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「げ…幻狼!!」

攻児が私を担ぐ男を見て口をポカンとあけた。

「か…帰ってきたんかお前…」

頭は男を見て明らか動揺している。

「月奈!!」

ギッと男を睨む柳宿。

あぁ…

せっかくおさまった柳宿の殺気が…

(この男後で殴るッッ!!!!)

「旅に出て帰ってきたらお前が頭なぁ…。
ブッサイクなツラしおって嫁までもろうたとはけっこうなこっちゃ!」

「ちょっとッッ!!!!誰がこいつの嫁よッッ!!!!」

「こいつはもろとくで!!
返して欲しいんやったら頭の座をかけてオレと勝負せい!!」

ガーッとほえるが無視された。

(やっぱり殴るッッ!!!!)

肩の上でグッと拳を握る月奈。

「…ただしこの女は今夜一晩たっぷりかわいがらせてもらうで!!」

「な?!!ι」

クククと笑う男。

「なんやて!!」

焦る頭。

「なんであんたが焦るのよッッ!!!!
私あんたの嫁じゃないんだからッッ!!!!」

半泣きで否定する月奈。

「月奈を離しなさいッッ!!!!」

「柳宿ッッ!!」

男に向かって構える柳宿。

男はニヤリと口角を上げた。

「いっちょう遊んだれ」

バッ

「な?!!」

「おっ狼?!」

男から放たれた狼が柳宿達を襲う。

「ほな女はもろとくで」

私を担いだまま窓から出ようとする男に焦る。

「ちょ!!離してッッ!!!!
柳宿ッッ!!美朱ッッ!!星宿ッッ!!」

「く…ッッ!!月奈…ッッ」

柳宿は狼を相手にしながら月奈に手を伸ばす。

「柳宿…ッッ!!」

狼に腕を噛まれ、額に汗を流す柳宿の姿に月奈は涙を浮かべた。

「月奈―――――ッッ!!!!!!」

そう叫んだとき、月奈の姿は窓から消えた。
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