永遠を貴方と

□十話
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月奈が連れて行かれてから、あたし達を女と勘違いしたバカな山賊達に酒の相手をさせられている。

男に酌をしながら柳宿は気が気でなかった。

(さっさとこいつらぶっ飛ばして月奈のところに行きたいのにッッ)

柳宿はチラリと横目で部屋の隅に置かれた荷物に目をやった。

「それにしてもさっき連れてかれた女最悪やなぁ!」

「!」

「ちょっと!それどういうこと?!」

酔って口を滑らせた男の言葉に美朱が男の胸ぐらに掴みかかる。

「どういうことも何も」

男はニヤニヤしながら続けた。

「今頃あの女と頭は2人っきり。
頭に迫られて乙女の清純パーや!!」

「なんですって?!!」

バッと美朱が掴んでいた男の胸ぐらを掴み上げた。

「ぬっ柳宿ッッ!!ι
死んじゃうからッッ!!ι」

柳宿の掴み上げた男の顔がみるみる青くなるのを見て、美朱は慌てて柳宿を止めた。









「やだやだやだッッ!!!!ι
近寄らないでぇぇぇええッッ!!!!ι」

ナイフをちらつかせながら締まりのない顔で近寄ってくる頭に月奈は尻餅をつきながら後ずさった。

「後ろはもう壁や。
言うこと聞いた方がええで」

デヘデヘという笑い声すら生理的に受け付けなくて涙が出る。

背中に感じる壁の冷たさと、目の前にちらつかせられたナイフにゾクリと背中に悪寒が走った。

「いやッッ!!!!」

いくら抵抗してもかなわないなんて分かっていた。

それでも―ッッ

頭の手がスカートを託しあげる。

「いやぁぁああッッ!!!!」

「大人しくしとかな…体に字のある奴が誰かわからんでもいいんか?」

「!」

朱雀七星士…

みんな集めれば、鬼宿は帰ってくる。

そしたら美朱はあんな顔しなくてすむんだ。

それに…

朱雀を呼び出して、紅南国は平和になって、唯のことだって――ッッ

私が…

「そうや…大人しくしとき」

抵抗を止めた月奈の太ももに頭は手を伸ばす。

その感覚にゾワリと鳥肌が立ち、ギュッと目を閉じた。

私さえ我慢すれば――ッッ
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