永遠を貴方と

□十話
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抱き上げられた腕から下ろしてもらい、スタスタと前を歩く男の後を歩く。

「ねぇ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

「なんや」

割とすんなり返事をしてくれたことに少し驚く。

「体に字のある人のこと知らない?」

「…そないなこと聞いてどないする気や?」

「探してるの」

ピタッ

「……探して…どうする気や」

この人…なにか知ってる??

「あなたの名前教えてくれない?」

「は?!」

「だから名前」

「なんでお前みたいなもんに名乗らなあかんねん」

「話にくいから?」

「オレに聞くなや!
だいたい人の名前聞く前に先名乗れ!!」

「月奈。
一ノ瀬月奈」

ニッコリ笑うと顔を逸らされた。

「……攻児」

「工事??」

「なにが工事やねんッッ!!
攻児や!攻児ッッ!!」

微妙にイントネーション違うやろッッ!!と怒鳴る攻児。

「攻児さん、私どうしても体に字のある人を探さなきゃいけないの」

真っ直ぐ攻児を見ると、攻児は黙った。

「もう…これ以上悲しみを増やさない為に…。
お願い…なにか知ってるなら教えて下さいッッ!!」

ガバッと頭を下げる。

「オレは……


知らん」

その言葉を聞いて顔を上げる。

「頭ならなんか知ってるかも知れん」

頭に聞くんやな…と、攻児はそれから私を見ずに再び歩き出した。

「……わかった。
ありがとう」

そう言って笑うと、攻児はピタリと足を止めた。

「攻……」

「『ごめんください!』
『どなたですか』
『頭に頼まれてつかまえた女の1人をつれてきた攻児です』
『まあ、それはよくいらっしゃいました』
『お入りください』
『ありがとう』」

ガタガタッ

「なにそれッッ!!ι」

まるで吉本のようなコントに月奈は思いっきりずっこけた。

「おお攻児!
連れて来たか?!」

頭であろう人物に言葉を発することが出来ずに半泣きで立ちすくんでいると攻児に肩を叩かれた。

ポンッ

「気ぃしっかり持ちや!!」

「こ……これが…頭??」

涙を浮かべて攻児を見れば、肯定と取るしかないように首を縦に振った。

そう…頭の恐ろしさを一言で表すなら



生理的に受け付けないッッ!!!!!
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