永遠を貴方と

□九話
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「おじさーん、メニューないですかぁ?」

メニューがなかったらしく、美朱はお金を取り出すと

「うーん…よし!
お金いっぱい貰ってきたし、ありったけの料理下さーい!」

注文を聞いて店員は奥へと下がって行く。

「月奈ちゃんと井宿一体どこ行ったのかなぁ?」

「美朱!
ムリして明るくしなくていーわよ!
鬼宿が気になるんでしょ?」

「ああ、いいのよもう!」

「いいってあんた……ッッ」

バンッ

笑う美朱に怒って柳宿は机を叩いた。

「あ」

柳宿の怪力で真っ二つに割れる机。

「とっともかく鬼宿なしで平気なの?!」

柳宿はごまかすように笑いながらガタガタと机を直す。

「だって…行っちゃったものは仕方ないじゃない」

「…まったく…あんたといい月奈といい……。
よく似てるわあんた達」

柳宿は呆れたようにハァとため息をついた。

「あたしが月奈ちゃんと??」

「みんなに心配かけないようにムリして笑うとことかね」

「柳宿は…月奈ちゃんのことよく見てるんだね」

「危なっかしくて目が離せないだけよ」

「本当に?」

「なぁに?なんか言いたそうじゃない」

ニヤニヤ笑いをしながら見てくる美朱。

「柳宿、もしかして月奈ちゃんのこと好き??」

「……知りたい?」

「うん!」

女の子はどうしてこういう話が好きなのか

美朱は生き生きと返事をした。

「教えてあげない」

「ええーッッ?!!」

答えると案の定不満そうな声。

それにフッと笑う。

「言うときは本人に一番先に言うって決めてあるのよ」

そう言えば、美朱は顔を輝かせた。

「そっか」

自分のことのように嬉しそうに笑う美朱。

まったく…人のことより自分のこと考えなさいよね。

そして、もうひとりの美朱のことしか考えてない愛しい少女のことを思い浮かべた。
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