永遠を貴方と

□三話
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まぁ、こうなることは分かってたし、仕方がない…

月奈はさっきからモヤモヤする気持ちをグッと押さえ込んだ。

ふと前に目をやると、柳宿にしがみつく美朱。

「美朱は馬に乗れないんだから…」

自分にだけ聞こえるように呟くと、馬の手綱をギュッと握った。

こんなのまるで…

考えついた答えにブンブンと首を振る。

そんなわけない…







「ねー、柳宿」

「なに?」

「月奈ちゃん、なんで馬に乗れるの?」

美朱は月奈を見て柳宿を見た。

「あぁ。
あんたが帰ってた3ヵ月間で覚えちゃったみたいよ」

「月奈ちゃん、運動神経いいからなぁ」

感心したように言う美朱。

「あんたとは大違いね」

クスクス笑う柳宿を美朱はムッと後ろから睨んだ。

「でも月奈ちゃん、なんか変わった」

「そう?」

「笑い方が前より柔らかくなった。
月奈ちゃん…ツラいこと何にも言ってくれないから」

寂しそうに言う美朱。

まったく…あの子は

「信用されてないわけじゃないと思うわよ?」

柳宿は美朱の気持ちを読み取って声をかけた。

「あの子の性格上、信用してない奴を近くに置いたりしないでしょ」

柳宿の言葉に美朱はキョトンと柳宿を見た。

「月奈ちゃんのことよくわかってるんだね」

「あんた達がお子ちゃまで単純だから分かりやすいだけよ」

「柳宿も変わったね」

「あたしが?」

「月奈ちゃんと星宿が話してたとき、前の柳宿なら絶対月奈ちゃんのことど突いてたよ!」

ど突くって…

確かに

以前のあたしなら星宿様に近付くような小娘、敵意むき出しだったでしょーね。

現に美朱にはいろいろヒドいことしちゃったしね。

でも、あのときは…

「大人の余裕よ。
あんた達小娘ごとき、この柳宿様の敵じゃないわ」

ホホホと笑う柳宿に美朱は

「…あっそ」

と冷たく言葉を投げた。
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