永遠を貴方と
□二十四話
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カチッカチッと火を付けている柳宿を見ながら震える身体をさすった。
「どーやらここ、漁師が使ってる穴みたいね!火をおこせて助かったわ」
パチパチと既に燃え上がった火に木をくべながらホッとしたように言った。
「さ、火もついたし服脱ぎなさい」
「…………はい?」
言われたことに充分時間を置いてから聞き直した。
「脱ぐのよ、乾かさなきゃ風邪ひくでしょ!!」
「え?!そ…それはそうだけど…ッッ!!」
脱ぐ?!柳宿の前で?!
絶 対 無 理 ッッ!!
ジリジリと柳宿から後ずさると、その分ジリジリと寄ってくる柳宿。
しかも楽しそうに。
絶対私で遊んでる!!
「ああ、もうじれったい!!」
「ひゃあッッ!!」
腕を掴まれて、押し倒された。
プチンッとリボンが外された音に、ビクッと身体が強張る。
それはきっと自然なこと。
ビクッと揺れた私を見て、柳宿はブラウスのボタンを外しかけていた手を止めた。
「ばぁか、何もしないわよ」
クスクス笑う柳宿を真っ赤な顔で見上げる。
「それとも…」
何も言わない私を見て柳宿は意地悪く笑って言葉を続けた。
「…なんかして欲しい?」
耳元に唇を寄せられて、低く囁かれた。
さりげなく耳に息まで吹きかけられて、ガッと熱が上がる。
絶対わざとやってる!!
「なッッ!!///」
怒ってやりたいのに言葉にならない。
そんな私の様子に柳宿は可笑しそうにクスクス笑う。
「こんな状況じゃなかったらねぇ」
おどけたように言ったそんな言葉でも、私の心拍数を上げるには充分だった。
「……ッバカッッ///」
ひねくれたように言えたのはたった一言。
でも柳宿は楽しそうにもう一度笑って「早く脱ぎなさい」と私の上から離れた。
ううん、離れようとした。
「月奈…?」
私に掴まれた腕にビックリしたように私を見る柳宿。
私は私で自分の行動にビックリして、目をパチクリさせた。
そんな私に気付いたのか、柳宿はフワリと優しく笑って私を抱きしめた。
冷たさを纏ったお互いの服から、身体から…じんわりとお互いの熱が交じるように伝わる。
それがどうしようもなく心地よくて、ゆっくりと目を閉じた。
「――ッ柳…宿――?」
そうして首筋に触れる柔らかさに少し戸惑って柳宿を呼ぶと、彼は顔を上げて私と視線を合わせた。
「嫌?」
「――ッ///」
ズルい…。
そんな風に好きな人に言われて嫌だと言える人が居るだろうか。
柳宿と真っ直ぐ視線を合わせたまま、フルフルと首を横に振ると、柳宿はホッとしたように笑って私の首筋に顔をうめた。
「痛ッ」
チクッとした痛みにとっさに柳宿の髪に手をいれる。
すると柳宿は私の首筋から顔を離して、チクッとしたそこを撫でながら満足そうにニヤリと笑った。
「あんたはボサッとしてるから…虫除け」
「?」
意味がわからなくて首を捻ると、今度は唇にそれが降ってきた。
「ん……」
触れるだけの口づけは回数を追うごとに深くなって、何度も何度も角度を変えながら熱を伝えた。
「――ッぬ…りこ…ッッ」
ハッと唇が離れた瞬間に息を吐き出し、荒く呼吸をしながら熱に侵された目で柳宿を見上げ、名前を呼ぶ。
「月奈…」
柳宿が私の名前を呼んで、ブラウスに手をかけた時――、
「柳宿?!月奈?!お前ら無事で…………、あ…」
「「……………」」
無事だった仲間に安心するよりも先に、喜ぶよりも先に流れた気まずい空気。
そんな無言の沈黙を破ったのは明らかに怒りを帯びた柳宿の声。
「……たまちゃん…あんた…」
「はッ!!わ、わざとじゃない!!わざとじゃないぞッッ!!ι」
ゆっくりと立ち上がりながら拳を鳴らす柳宿にマズいと気付いたのか、真っ青になりながら慌てて私から視線を外し、鬼宿は後ずさる。
そんな中、美朱は顔を真っ赤にして私と柳宿を交互に見ていた。
「問答無用!!覚悟!!」
「ぎゃあああああッッ!!ι」
嵐の音より大きく、鬼宿の声が響いた。
その声と共に、残念だったからなのか安心したからなのか…私は深くため息をこぼした。