永遠を貴方と

□二十三話
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パンッ

「!」

「月奈?!」

金色の光の壁で角宿の武器を寸前で受け止めた。

「月奈!お前!」

「ごめん…、鬼宿」

ごめん…

「もう…やめて…」

ごめんなさい…

「これ以上、この世界を…血で染めないで…」

悲しみも苦しみも

全部全部背負うから…

あの日、亢宿を助けられなかった私の責任だから…。

「私をうらめばいい」

真っ直ぐに角宿を見上げると、彼は動揺したように私を見た。

「亢宿を…あなたのお兄さんを助けられなかったのは私だから」

「月奈?!何バカなこと言ってんのあんた!!」

ごめん、柳宿。

私ひとりで済むなら、それでいいんだ。

憎しみの対象が私ひとりで済むなら、それでいい。

憎んで憎んで…

それでこの人が生きていけるならそれでいい。

それがあの日、道を間違えてしまった私がつぐなえる唯一。

「お前が…兄キを助けられなかった…?
お前が…殺したのか…ッッ」

「違う!月奈ちゃんのせいじゃな…!「そうだよ」

美朱の言葉を遮って角宿に告げると、角宿はギリッと唇を噛んだ。

「お前が…ッッ」

角宿は私を見下ろしながらうわごとのようにポツリと言葉を落とした。

「――ッお前がーーーッッ!!」

そうして怒りに狂ったように私に向かってくる角宿に真っ直ぐ手をかざした。

「月奈!!」

バシンッ

「ぐあッッ!!」

私の力に吹っ飛んだ角宿をただ見つめる。

うらんで

私を…。

だからこれ以上誰も傷つけないで。

ごめん、鬼宿…。

あなたが護りたかったもの……、私が奪ってしまった。

角宿を殺してやりたいと思うその気持ちを邪魔する私をうらんでくれていいから。

だから、この螺旋だけは断ち切らせて。

“悲しい螺旋”は、もうたくさん…。

「く…ッ」

苦しそうに倒れたまま顔を歪める角宿に

お願い、このまま引いて…と思う。

ピカッ

「?!!」

空が光って、え…?と思ったときにはもう遅かった。

「月奈!!」

とっさに鬼宿が私の腕を引こうとしたのに気付いて、なんだか泣きたくなった。

「きゃぁぁぁぁッッ!!」

ビリビリと体中に走る痛みに意識を失いそうになるのを必死に堪える。

「――ッ月奈…ッッ!」

そうして、私を心配してくれる柳宿の声に、どうしようもなく泣きたい気持ちになった。

あぁ…どうして、彼らはこんなにも優しいんだろう。

「くそ!月奈!美朱!しっかりしろ!!」

気を失った美朱を鬼宿が抱き上げるのを見て、柳宿の腕に倒れた。

「月奈!」

ギュッと強く…優しく抱き留めてくれる柳宿の腕にホッとして、すぐにでも意識が飛びそうになる。

「まったく…未熟なくせに調子にのるからこうなるのだ角宿!」

失いそうになった意識はその声にハッと再び意識を取り戻す。

「う…せぇ房宿!
余計なこと…しやがって!」

「房宿…?」

「じゃあ…あんたも?!」

角宿を抱えたその人をかすむ目で見上げる。

すると目が合った気がした。

「今のはほんの挨拶だよ。
次に会う時にはもう少し技をみがいてこい朱雀七星!」

そう言い残し、姿を消した房宿と角宿を見て、安心したのかズルリと倒れる感覚と共に意識が途切れた。
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