永遠を貴方と

□二十三話
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「そうだ鬼宿、昨夜から考えていたのだ、お前の家族のことなのだが」

「え?!」

「栄陽に呼んでやってはどうだろうか。
旅に出ている間心配であろう、あんな幼い子達を置いては…。
市街中に家を与えたい。
むろん哀れみではない、私も世話になったし礼がしたいのだ」

「!」

そんな星宿の申し出に鬼宿はパッと表情を緩めた。

「あ…ありがとうございます!!」

そうして星宿に縋り付きながらひたすらお礼を述べる鬼宿と

「んもー!星宿にくいんだからこのこのこの!くーッ!!」

グリグリと美朱に押され、星宿は照れたように顔を真っ赤にした。

そうして、その様子に私達も笑う。

「星宿って、やっぱり皇帝陛下なんだね」

ひとりでも民を救いたいと願う彼の優しさは、きっとこの国を優しくする。

そう思って微笑んだ。

「さ!月奈、行くわよ!」

グイッと手を引かれて反射的に顔を上げる。

「へ?どこに?」

まだ積み荷終わってないよ?と言えば、柳宿は「そんなのサボってた翼宿に任せとけばいいのよ」と舟の上で震える翼宿を見る。

いや、あれじゃあ無理だと思うけど…(笑)

真っ青な顔でしがみついて震えてる翼宿を見て思う。

「あんなことがあったすぐ後なのに、美朱と鬼宿ふたりで鬼宿の家に行かせるなんて心配でしょ」

そう言った柳宿に、それもそうだけど…と思う一方で、ふたりきりにさせてあげたいと思う。

そして、ただふたりが心配なだけじゃなくて、のぞき見したいだけなんじゃ…と、楽しそうに頭に花を咲かせてる柳宿を見て思った。








ザワザワと人で溢れる市街の中。

「お土産でも買って行くのかな?」

柳宿にならってコソコソとふたりの様子を眺める。

「て、やっぱりのぞき見したいだけなんじゃない」

私の隣でしゃがみ込む柳宿を見て、呆れたように言えば、柳宿は「ち、違うわよ。見張りよ、見張り!」と意味のわからないことを言う。

それに、なにそれと思ってまた呆れる。

でも、時々呆れるくらいに子供っぽい柳宿に、そんなとこも好きだけどね、と思って美朱と鬼宿に目を向けた。

「でも、なんか意外」

「何が?」

「鬼宿がお金使うの(笑)」

真剣に……、というか、顔のデッサンが狂ってしまうほど楽しげにお土産を選ぶ鬼宿を見て思う。

「鬼宿って本当に家族が大切なんだね」

そんな鬼宿にも、呂候さんと柳宿にも

純粋に羨ましいと思った。

そうして不意にクイッと私の頭を自分の肩に寄せる柳宿に一瞬驚いて、でも逆らうことなく体を預ける。

柳宿は私の気持ちに敏感だから。

心の中でフフッと笑う。

もう大丈夫なのに――、と思って。

それでも、その想いがただ嬉しくて、黙って柳宿に甘えた。

そんな中で、家族のことを話す鬼宿の話を聞きながら、やっぱり羨ましいと思う。

美朱が結蓮ちゃんのお土産を選びだして、なかなか決められないでいるのを見て、目の前にあった鞠を柳宿に指さす。

「これなんていいんじゃない?」

「あら、いいじゃない」

柳宿は私が指さした鞠を手に取ると、コソコソと美朱達に近寄って行く。

そんな彼を見ながら、やっぱり楽しんでるよね(笑)と思って、美朱の断末魔が聞こえてくるまでそこにしゃがみ込んで事の成り行きを見守ってた。
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