永遠を貴方と

□十八話
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「私……」

口を開くと、唯は私をジッと見て私の言葉を待った。

「私は……唯のとこにはいかない…」

そう言うと、唯は少しだけ瞳を揺らした。

「そう」

まるで分かってたとでも言うような口ぶり。

「唯を信じてるから、唯のとこにはいかないよ」

そう言うと、今度は動揺を隠せなかったのか、唯は食い入るように私を見た。

「な…に言ってんの」

大きく揺らぐ唯に微笑む。

「唯を信じてる」

もう一度言葉にする。

信じてるよ…。

だって美朱は唯を裏切ってなんていないもの。

いつかわかってくれる。

それに

「唯は私達を傷付けたりなんて出来ないんだよ」

「―――ッッ」

ギリッと唇を噛む。

「早くその子を連れてって!」

「は!」

唯は私から視線を反らすと、私を捕らえていた兵にそう命じた。




「――ッッ何が『信じてる』よ――ッッ。
あんたも美朱と同じ…!綺麗事言わないで!」

月奈が去った後、手首の切り傷を見つめながら叫ぶ。

自分だけが汚れてしまったことを嘆くかのように――。








どこに連れられているのかも分からない中をただ進む。

動揺して唯を責めるようなことをしてしまった…。

美朱を傷付けたのは唯じゃないって分かってるのに…。

それより、鬼宿の様子が気掛かりだった。

私を見ても何の反応も示さない瞳。

美朱があそこに居たのだとすると、何故鬼宿は唯の傍に居たのだろう…。

……何かに操られてる?

「入れ!」

そこまで考えて、兵士の声にハッと顔を上げる。

「将軍、怪しい輩を連行致しました!おそらく朱雀の巫女の仲間かと」

そう兵士が敬礼した目の前の相手を見る。

金髪に青眼……

外人?

「その恰好……そうか、お前が」

将軍と呼ばれた男は私を眺めるとニヤリと口角を上げた。

「下がれ」

「は!」

男は兵に命じると、兵は私を置いて部屋を出て行く。

「……あの…」

尚、私を眺める男の視線に堪えかねて口を開く。

話すことなんて何もなかったけど、視線が嫌だった。

「まぁ、かけるといい」

男はそう言って椅子を示す。

なんで?

私は捕まったんじゃないの?

即、牢屋行きだと思っていたのに座れと促すこの男に首を傾げる。

「…どうして私を捕らえないの?」

椅子には座らずに男に問う。

「捕らえる?」

男は何故?とでも言いた気に私に言った。

男の意図が分からなくて私は黙った。

「貴女は大切な存在だ。
この国…いや」

そこで言葉を切って私を見て怪しく笑う。

「この世界にとって――な」

その言葉と笑みにゾクリと背中に寒気が走る。

知っているんだ――と思って。

途端に怖くなった。

目の前のこの男が…。
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