永遠を貴方と

□十八話
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「唯!!」

会えたことにホッとし、唯を見るが、唯は私を無表情に見る。

ううん、睨んでるようにさえ見えた。

「唯…?」

そうして何も言わない鬼宿に目を向ける。

彼も無表情に私を見た。

「鬼宿…?」

ただ何故か様子がおかしいと思った。

鬼宿の手に握られているのは見覚えのあるリボン。

美朱のものだと気付くのに時間はかからなかった。

そうして、連れて行かれた美朱は今までここに居たのだと知る。

じゃあ、どうして鬼宿がここにいる?

「………唯」

声をかけると唯はピクリと反応した。

「……………美朱に何したの…?」

床に散った血を見ながら唯に問う。

「鬼宿は…そこで何してんの…?」

唯に視線を向けた後、鬼宿を見た。

唯は一瞬怯えた目をしたけど鬼宿はやっぱり無表情のまま私を見た。

「答えてよ!!」

何も言わないふたりに両目から涙が散る。

何これ……

どうしてこんなことになってるの…?

美朱は怪我をしたの…?

鬼宿はどうしたの…?

頭の中はぐちゃぐちゃだった。

「美朱なら大丈夫よ…」

シン――と静まった中で唯が口を開いた。

「……たぶん骨は砕けたけど…」

骨が砕けた…?

え――?と唯を見るが、唯の感情は読めなかった。

これは誰?本当に唯…?

「く…だけた…って……」

さ迷うように声を出す。

言葉を探すように。

砕けた…?

どうしてそうなったの…?

どうして唯はそんなに冷静なの?

「――ッッおかしいよ!唯!どうしてそんなに冷静に「美朱がどうなろうと知るもんか!!」

唯の言葉に私の声が遮られる。

「あの子があたしを裏切ったんだ…!あたしは美朱を許さない」

真っ直ぐ私を見て言い切る唯に言葉が出ない。

「でも月奈…あんたは違う」

打って変わって表情の和らいだ唯。

「心宿は何故かあんたを欲しがっているし、あたしのとこに来るなら悪いようにしないよ」

それって、美朱の元にいるなら私も美朱も殺すってことだろうか……。

そう思うととてつもなく悲しくなった。

胸の奥にドンッと黒い固まりがのしかかったように…。
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