永遠を貴方と

□十八話
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しばらく歩くとフワリと甘い花の香りがした。

「…あ!」

開けた場所に大きな木を見つけると、美朱は嬉しそうに声を上げる。

「約束の場所だ!すごいよネコちゃん!!」

美朱が褒めると軫宿の猫が照れたように見えたのは気のせいだと思っておこう(笑)

それより、唯に会えるのか――

という不安が脳をかすめる。

会いたい――唯…

会って話がしたい…

ふたりが争うなんて嫌だ。

チラリと美朱を見ると、ソワソワと鬼宿が来るのを待っている。

鬼宿のことが好きな美朱――

鬼宿のことが好きな唯――

私は――…

「月奈ちゃん?どこに行くのだ?」

数歩足を進めると、井宿は私を止める。

「ちょっとトイレ!」

急いでるそぶりで「ついて来ないでよねー!」と言って振り向かずに美朱達から離れた。

ごめん…

唯に…唯に会えたらすぐ戻るから――!

















「ここまで来れたのはいいものの……」

そう

普通に考えれば入れるわけがない。

高い塀に囲まれ、門には兵…。

ちょっと無謀だったかも…と思いながら様子を伺う。

すると中から別の兵がやって来て、門を見張っていた兵士に何かを伝えると、中へと姿を消した。

え――?

誰も居なくなった門に、これってチャンス?と思う片隅で、罠かもしれないと思う。

でもこれを逃せばきっともうチャンスはない。

「…………」

意を決して周りを見渡し、安全を確かめると門へと向かった。
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