永遠を貴方と

□十八話
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「…………く…苦しい……ッッ」

息が詰まりそうな苦しさに無理矢理声を出す。

早く助けて貰わないと、たぶん死ぬ!って思ったから。

「もうちょっとマシな場所なかったの?!」

私よりだいぶ元気な美朱はそりゃあもう目一杯抗議した。

そんなことはいいから早くどいて!と思う。

バキッ

「わッ!!ι」

突然の浮遊感。

とっさに目を閉じるとグイッと手を引かれた。

「……大丈夫なのだ?」

上から降ってきた井宿の声に、大丈夫なわけない!と思い、抗議しようとするが

「……あれ…?痛く…ない??」

体中に神経を研ぎ澄ませてみるが…うん、どこも痛くない。

「…おい、はよどかんかい!」

ん?

私の下から翼宿の声がする。

………私の下から…?

おそるおそる下を見るとムスッと顔を歪めた翼宿の顔。

痛くなかった理由を瞬時に理解すると、私は慌てて翼宿の上から降りた。

「ごッごめん、翼宿!ι」

ガバッと頭を下げると、翼宿はフンと鼻を鳴らした。

「月奈ちゃんが気にすることはないのだ。
翼宿が勝手に下敷きになったのだ」

頭を下げる私に、井宿は「勝手に」を強調して言った。

「べッ別に助けたわけちゃうぞ!
こいつに怪我でもされたらあの馬鹿力のオカマに何言われるか分からんからッッ」

早口でまくし立てる翼宿に思わず笑ってしまう。

翼宿の優しさは好きだ。

わかりずらいけど、誰よりも仲間想いで優しいと思う。

笑った私を見て、翼宿は私から顔を反らすと、またフンと鼻を鳴らした。

「ところで井宿、ここから術なしでどーやって……あれ?」

なでなでと井宿を撫でながら首を傾げる美朱。

「ずいぶん毛がのびたね井宿」

「おいらはここなのだ!!」

「生き別れの弟ちゃうか?」

「そーいえば他人とは思えないのだ…」

手を取り合う井宿'sにいつ突っ込んでやろうかと考える。

「………それ、軫宿の猫だと思うけど(笑)」

「ホンマや!いつの間についてきよったんや、足手まといやで!」

「そーだ!ねぇ、動物って鼻効くでしょ!!」

「あ、花の匂いわかるかもね!!」

「よっしゃ、そうと決まればこい!!」

「猫はこっちだから!ι」

井宿を掴んで行く翼宿に本気かな…と心配になる。
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