永遠を貴方と
□二十二話
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「ぅ……ん…?」
チュンチュンと鳥の鳴き声が耳に入って、朝だ…と思い、身じろぐ。
………あれ?
体が動かなくてうっすら目を開けと、間近に柳宿の顔があって、ビックリして声を上げそうになる口を慌てて両手で塞いだ。
「―――ッッ!///」
(ぬぬぬ…柳宿?!なッなんでッッ?!///)
動揺する頭で必死に考える。
(あ……、そっか…昨日…)
そうして動けなかったのは腰に回された柳宿の腕だと気付く。
(ずっと…抱きしめてくれてたんだね)
そんな彼が愛しくて胸の奥がキュンッと鳴る。
「……綺麗な顔だなぁ…」
グッスリ寝ている柳宿の顔を見ていたら男の子のくせに…と恨めしくなる。
「……ん…」
「!」
ソッと頬に触れたら柳宿が身じろいで、慌ててその手を引っ込める。
だが柳宿の目が覚めることはなく、柳宿は再びスー…っと規則正しい寝息を立てた。
それにホッと息をつく。
…寝てる…よね?
「…月奈…」
「え?!」
名前を呼ばれて柳宿を見るが、柳宿の目は開いていない。
「寝言……?」
私の名前を呼ぶって……
どんな夢見てるんだろう。
私を呼んだ唇にソッと触れる。
そういえば私からキスしたことってなかったな
なんて思った。
「ちょっとくらい…大丈夫だよね?」
まだ起きないよね…?
と思いながらジッと柳宿を見る。
が、彼は規則正しい寝息を立てているだけ。
普段柳宿が起きているときじゃ絶対に出来ないし、
いつも敵わない彼に少しだけでも主導権を握ってやる!
なんてバカなことを考えて、ドキドキと柳宿の頬に手を伸ばす。
頬に触れても起きない柳宿によしッッ!と覚悟を決めて綺麗なその顔に近寄る。
ドクンドクンと鳴る自分の心臓の音を聞きながらチュッとその柔らかさに触れた。
心の中で「やっちゃった!」なんて叫びながら、唇を離そうとしたら…
「――んんッッ?!」
離れた唇に押し付けられた温もり。
しかも頭を押さえられてて、抵抗出来ない。
パニックになっていると口の中に滑り込んできた感触にまたパニックを起こす。
(〜〜〜ッッ///舌!舌!舌ッッ!///)
「んん〜〜〜ッッ!!///」
いつの間にか組み敷かれていて、私は自分の上に乗っかっている柳宿の胸をバシバシと叩いて、苦しい!と訴える。
そうしてやっと唇が離れた。
離れた瞬間にツウッと繋ぐ銀色の糸。
それを見て真っ赤になる。
「なッッなななな…ッッ!///」
何すんの!と言ってやりたいのに言葉にならない。
そんな私を見下ろしながらニヤリと柳宿は笑った。
「人の寝込み襲うなんて………スケベ」
意地悪な笑みを崩さずに私を見下ろす柳宿。
「なッッ!柳宿の方がッッ!///」
しッッ舌なんて初めて入れられたわよ!///
………ん?
(……ハッ!そッ…そういえば私…ッッ倶東国で心宿に――ッッ!)
柳宿にされたのは初めてだけど、ホントに初めてじゃないッッ!と思い出して真っ青になる。
「………なに百面相してんの…?」
「へッッ?!なッ!なんでもないよ?!」
ブンブンと目の前で手と首を思いっきり振る。
って、これじゃ逆に怪しいじゃんッッ!!
「いッいつから起きてたの?!」
そうだ!
自分なりにナイスな機転!
ちょっと褒めてやりたくなったぞ。
「…あぁ、あんたがゴソゴソし出して、『綺麗な顔だなぁ』から」
その言葉にゴンッと頭に衝撃が走った気がした。
「な――ッ///」
あまりの衝撃に言葉が出なくて、真っ赤になって口をパクパク動かす。
つまりはあれだ…
最初っから……ッッ!
「起きてたの?!///」
「起きてないなんて言ってないわよ?」
「――ッッ!!何で寝たふりなんてしてんのよーッッ!!///」
恥ずかしさのあまりシーツを頭まで被る。
思いっきり。
そのシーツごと私を抱きしめて柳宿は「ごめんごめん」とクスクス笑う。
「でもおかげでいい思い出来たわ」
「ッ///柳宿ぉッッ!!」
ガバッとシーツから顔を出すと、柳宿は綺麗に笑って言った。
「月奈からのキスなんて、貴重だもの」
そう言った彼にまた恥ずかしさが込み上げて「バカ――――ッッ!!!!///」と、それはもう…宮廷中に聞こえるんじゃないかという大声で叫んだ。