*novel*
□月
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「セブルス、見て」
スネイプは飲んでいた紅茶のカップをソーサーと共に机に置き、窓を開けたルーピンを見た。
ここはルーピンの自室。
薬を持ってきたスネイプは、ルーピンに強引にここに引き留められたのだった。
ルーピンは窓の前でこちらに向かって早くと手を動かした。
スネイプはわざとゆっくりとした足取りでルーピンがいる窓辺に近づいた。
「何が見える…」
にこにこ笑うルーピンが指す方を見ると、新月から光を持ち始めたばかりのほっそりとした三日月があった。
「きれいだね」
月を見上げながら言うルーピンにスネイプは眉を寄せた。
「貴様、月は嫌いじゃないのか?」
「…好きじゃないよ」
スネイプの言葉に困ったように笑いながら、ルーピンは月を見上げたまま言った。
「夜も月もなければって何度思ったか」
ふと視線を落とし、スネイプには見えないように溜息をついた。
「でも、三日月くらいの月明かりなら好きかな」
ぱっとスネイプに顔を向け、先程の溜息を誤魔化す様ににこっと笑った。
「真っ暗な闇に光を与えてる。
ほんの少しの光を」
「それ以上だと貴様が月を直視できまい」
不機嫌そうにルーピンに言葉を返し、スネイプはカーテンを閉めた。