*novel*

□幸せのチャーム
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あれほど積もっていた雪が嘘のようになくなり、心地よい風と共に春が訪れた。
冬の間の週末を城の中で過ごしていた生徒も、温かな日差しを求めて外で思い思い戯れている。
そんな中に、この日差しにとても似合わない、ホグワーツで最も生徒から嫌われている教授――セブルス・スネイプは、同じくホグワーツの教授、リーマス・J・ルーピンの隣にいた。

「すっかり春だねー」
湖が見える、あまり人気のない場所に座っていたルーピンは、隣で立ち、春に似つかわしくない黒い服を身に纏っているスネイプに話しかけた。
「この忙しい時期に我輩を連れ出した訳をお聞かせ願おうか、ルーピン」
スネイプは眉間の皺を深く刻み、怒りを押さえるような声でルーピンに言った。
「うん、来てくれて嬉しいよ。まぁ座って」
ルーピンはスネイプの怒りには全く気づいていないような感じでにっこりと微笑みかけ、ポンと自分の隣の地面を叩いた。
「我輩は忙しい身でしてな、貴様と話し込んでいる暇などない」
眉間に皺を寄せたまま目だけでじろりと自分の足元に座って、こちらをにこにこと見ている見すぼらしい身なりの男を睨んだ。
「折角来たんだから…ちょっとだけ」
ね?と今にもスネイプの服の裾をひっぱりそうな声でルーピンは言った。
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