*novel*

□Christmas
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リーマスは丁度近くにあったお洒落なカフェに入った。
店内ではカップルが多く、そのどれもがなんとも幸せなオーラを放っている。

(クリスマスを一緒に過ごすのを拒否はされなかったけど、一緒に買い物だなんて有り得ないな)

クリスマス気分を味わうカップルを見ながら、ルーピンは青ざめた。
一緒に買い物だなんて、想像ができない。

食事を済ませ、紅茶を飲みながらどんなプレゼントを買うか考えた。
いろいろ見て回ったが、やはり残る物が良い。
リーマスはあの暗い部屋に自分があげたものがいっぱいになるのを想像した。

なんとなくプレゼントの方向性が決まってきたし、時間も惜しいのでカフェを出た。
ますます色が悪くなった空を見上げ、まだ回っていない店に足を向けた。






いったいどのくらい時間が経ったのか。
外はすっかり暗くなり、赤や緑の光が優しく道行く人を照らしている。
リーマスは両手のひらに乗る程度のプレゼントを抱えてイルミネーションの下を足早に歩いていた。
自分は一目見て気に入ったプレゼントだが、セブルスも気に入ってくれるか正直自信はない。
それでもなぜか嬉しくてにやけてしまうのを止められなかった。

どんどん寒くなっていくのにも負けず、街は賑やかさを増していく。
足がフワフワした感覚になって、少し身体が熱い。
人に酔ってしまったみたいだ。
道の端で立ち止まり、抱えていたプレゼントを見た。

気に入った物がなく、ほぼ諦めかけていたときに見つけた。
水晶のような物の中で雪が降っていて、まるで魔法がかけてあるように満月が浮いていた。
真ん中には小さなツリーが静かに光っていて、素直に綺麗だと思った。
ほとんど迷いもせずに気が付いたら買っていた。
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