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□泣き出したいのは譲ろうか
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オマケ
「あら、无君、嬉しそうね。どうしたの?」
鼻歌でも歌いだしそうな雰囲気の无を見て、ツクモが問いかける。
嬉々とした声で无は答えた。
「あのね、與儀と花礫、泣きそうなの!」
「えっ、泣きそう?」
「うん。でも、悲しいんじゃない。すごく嬉しいって感じる。だから俺も嬉しい!」
「……そう。良かったね」
「よかった!」
拳を握って喜ぶ无を見て、ツクモは微笑む。それを見た无が、ますます笑みを深めた。
「それで、泣きたいほど嬉しいことってなんなのかな?」
「……え? あ、分からない……」
「そうなの。でもそれは无君のせいじゃないじゃないわ。落ち込まないで? ……あっ」
彼を慰めていたツクモが、二人のほうに歩いてくる與儀と花礫に気づく。
无の手を握って、笑った。
「二人がコッチに来る。なにが嬉しいの? って、聞きに行きましょうか」
「うん! 行くっ!」
ぱあっと无の顔が明るくなる。
良かったと呟いて、ツクモは无と共に、二人のほうへ駆けて行った。