その他版権

□メイド喫茶ごっこ
1ページ/2ページ

「見て見て、日向くん!」


嬉々とした声に、今度は何を見つけたんだと、何の気なしに顔を向ける。その瞬間に、お茶をふきだした。え、なにやってんのコイツ? バカなの?


「どうかな、これ」

「すごく気持ち悪いです」


小さい方でも充分気持ち悪いが、まだマシだ。確かに顔は綺麗だけど、長身のコイツが、メイド服って。誰が着せたんだ? サイズがぴったりあってるってことは、もともと男用のコレを所持していたか、わざわざ作ったってことだ。


「誰だよ、そんなもの着せたやつ」

「篠原さんだよ。なんかね、一部では需要あるから着てみてくれって」

「あいつかぁ〜!」


あいつはリアリストだ。非現実的なことはしない。でも、これが、本人が言うように、需要があるんだったら話は別だ。つーか、なんだ? こいつがこれ着てなんの需要があるってんだよ。
教えてくれ。……あ、やっぱりいいや。知りたくない。


「お帰りなさいませ、ご主人様」

「は?」

「って言えって。あんまり言いたくないんだけどなぁ。ご主人様ってところ」

「あとはいいのか」


いや、なんの抵抗もなく、メイド服なんか着てやがるんだから、訊くだけ無駄か。


「ねぇねぇ、それで指導ってなにするの?」

「なにわけわかんねーこと言ってんの?」

「だって篠原さんが、メイド喫茶の仕事内容は、日向くんが教えてくれるって」


いやいやいや、聞いてねーよ。つーか、メイド喫茶やらせるつもりなのか。どんな需要だよ。とりあえずこの学校のなかじゃ必要なくね?


「日向くんってば」

「ああ、うるせ。いいんだよ。そんなことしなくて。それよりさ」


ぐっと腰を引っ張る。そのまま手を滑らせて、緩やかなラインを撫でた。けっして、その格好に興奮したとかじゃない、むしろ萎える。……でも、まぁ、我慢できない範囲じゃないし。たまってるし。


「ええー、メイド喫茶はお触り禁止とか言ってたよ」

「俺はメイド喫茶ごっこに付き合う気はないの。イメクラに変更でいいじゃん」

「イメ……?」

「いいから、いいから」


椅子から立ち上がって、うまいこと六道を押し倒す。……いや、半分自分から動いてたけど。だって初めてってわけじゃないし。あーあ、小さい方にもどったら、今度はなんて言ってやろうかな。「腰が痛い」わけ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ