HIROxDAI小説
□海音-KANON
2ページ/14ページ
・・・?
ガラスの向こう側にいる彼を見つめる。
何か変・・・
いつも歌う時は集中しているのに、今日はため息をついてばかりいる。
たぶん本人も気付いていないと思う位、曲の合間に少しずつだけど。
曲にのれない?
いや、二人でこの曲を決めたんだから、そんな事ないと思うんだけど・・・でも・・・。
とたんに僕もヒロと同様、ため息をついてしまっていた。
「少し休憩入れようか?」
ガラス向こうのブースに指示が伝わるボタンを押し、話す。
スピーカーを通した僕の声にヒロは目が覚めた様な顔をした。
・・・静かに通る声で二つ返事が戻ってきた・・
自動販売機前・・・
ミキサールームにもあったけど気に入ったコーヒーが飲みたくなってここへ来たんだ。
壁に背もたれしながら飲む。
疲れていた喉に一気に注ぎ込まれる甘味。
フーっと息をつくと、大ちゃんがこっちに向かって駆けてくるのが横目で見えた。
「ヒロ、どうしたの?」
目の前にある心配そうな顔。
「えっ?」
コーヒーを口から離す。