HIROxDAI小説
□運命〜2004.11.26〜
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今日は特別な日だから、仕事を早く切り上げて、恋人のスタジオへ直行。
大ちゃんの大好きなケーキとワインと、ゴディバのチョコまで買った。
信号で停まった時に目に映った、色とりどりの花に引き寄せられて、柑橘色の花束を作ってもらった。
車に戻ると携帯の着信音。
「あれー?アベちゃん」
「あれー?じゃないわよ!あんた今どこに居るの?!」
おぉ、ちょっとお怒りの様子。
「今向かってるよ。ごめん遅くなったね」
一刻も早く向かいたいけど、運転しながらの電話は絶対しないと大ちゃんに約束したから、ハザードを付けながらの会話。
「じゃあたし帰るけど、大介に無理させないでよ?」
「大丈夫だよ」
忙しいのは解ってるから。
「今日だけよ?遅刻厳禁だからって、大介に伝えといてよね」
次に続く俺の言葉を待たずに電話は切れた。
全く、アベちゃんらしい。
―――あれから12年。
俺達を取り巻くたくさんの出来事があったけれど、相変わらずな日々を送っている。
大ちゃんは、ますます多忙になった。
俺はといえばそんな恋人に対し、どんどん過保護になっていく様。
俺は傍にいるだけしか出来ないけれど、大ちゃん曰く、こんな俺でも必要とされ、役に立っているみたいだ。
大ちゃんと過ごす貴重な時間。
今も、これからも、俺の全て。
今日の事は言ってないから、きっと驚くだろうな。
そんな恋人の顔を想い、君へと向かう。
「大ちゃーん?」
「あれっ?ヒロ――??」
―――俺達の夜はまだ始まったばかり。
―END―