仮面夫婦

□六 出会い
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 不本意だがいつか知らせるのならば、早々に自分から言いたい。


(何処行った、ナルト)


 息を整えて溜め息を吐く。
 これでは怒られ損……否、下手したら屋敷へ帰れない。
 ナルトを見付ける事が出来なければ、テマリは自業自得の迷子だ。


 けれどいつまで経っても見付からず、仕方なしに今度はテンテンを探し始める。
 だが今度はテンテンも見付からない。

 途方に暮れる今のテマリに正にふさわしい言葉。
 『二兎追う者は一兎も得ず』──まさにそれだった。


 テンテンが穴場だと向かっていた森を見る。
 彼処へ行けば、テンテンも来るかもしれない。


 迷子は動かない方が見付けやすいという事を知らないテマリは、一人森へと向かった。


 天には闇が忍び寄る。








 空が青から紫、赤へと変わる。
 夜が近い。
 もう少しすれば花火も上がるだろう。
 『九尾奉り』の花火は夕方と夜の二度に分けて咲く。

 闇が忍び寄る時刻に花火で追い払い、闇が深まる時刻に灯りをともす。
 人々は何時でも光を求め、火をともして月を見上げるのだ。


(終わったらナルトにでも会いに行くか)


 九尾奉りの花火は毎年"九尾の人柱力"──うずまきナルトが執り行う。
 いうなれば人柱力は巫子だ。
 九尾に繋がれた唯一の存在。

 特別な存在には特別な役割があり、花火の打ち上げや祭りの主催だったり、はたまた一族の長となる者もいる。
 自分の妻の弟もその内の一人だ。


 と、リーが「あー!」と声を上げた。
 驚き見れば、明らかに「不味い」という顔だ。


「如何した?」

「……ガイ先生との熱い約束を忘れてました」

「約束?」

「はい……屋台の手伝いを……」

「……また激辛カレーか」


 ガイは毎年激辛カレーライスの屋台を出す。
 その余りの辛さに、一度食した者は二度と買おうとはしない。
 買うのは挑戦者か来訪者のどちらかだ。

 ガイ特製激辛カレーライス、『命のカレー』は中々に好評だった。


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