エッセイ

□夜の車は湘南へ
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Sは約束の時間より6分遅れ
私を連れ出してくれた。
長く続く、不安定なかごの中から外へ。

大好きなバンプがかかる車内
私はご機嫌で歌を歌っていた。
「これ大好き〜♪」とか言いながら。

『美しくなんかなくて
やさしくもできなくて』

一番好きな歌詞が歌えなかった。
ぼたぼたとこぼれ始めた涙に困っていた。

信号待ちで車は静止

S「大丈夫?泣いてたでしょう」

あ「別にィ〜」
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