海賊

□雨。
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俺とルフィに降り注ぐ雨。果たして俺は泣いてるのか?それとも雨か?ルフィの顔を滴る水が邪魔で拭っても拭っても・・・雨のせいで顔がうまく見えない。まるで、俺とルフィの間に水の壁を作るかのようだ。だから俺はルフィと俺との間に雨の一滴も入れないよう、強く強く抱き締めた。



なぁ・・・俺の名前呼んでよ。『サンジ』って。『好きだ』って。・・・なぁ、今さっき抱き合った時みたいに俺を呼べよ。何で?呼んでくれねぇんだ・・・。・・・ルフィ。

俺は誰にも邪魔されないよう、自分の部屋にルフィを連れて帰った。俺はルフィを抱き締めていた。何分か前の状態。まるで今すぐにでも俺を見上げて名前を呼びそう。・・・なのに腕の中の恋人は冷たく・・・・・・呼吸をするときの微動さえ無い。





・・息をしてくれよ。・・・頼むから俺を置いていかないでくれよ。傍に・・・居てくれよ。


「約束・・・守れなくてごめん。俺・・お前の後追うわ。」


自前の包丁で自分の咽を掻っ切った。血飛沫がルフィの顔を隠していく。





・・・頼むから俺達の邪魔しないでくれよ・・・。













サンジはルフィを抱き締めながら永遠の眠りについた。




















ルフィは自分が死ぬのを知っていたのだろう。
そして、サンジが自分を追って死ぬ事も。




嗚呼・・・神様・・・どうか・・・どうか・・・この二人を邪魔しないで下さい。
哀しみの雨で、楽しみの晴れで、疑いの曇りで、黄昏の雪で、怒りの雷で、裁きを下さないで下さい。
どうか・・・どうか・・・。
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