空想室
□もしも…タクシー運転手だったら
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肌寒い季節の更に気温の下がった夜。
少しでも早く家路に急ごうとタクシー乗り場には身を屈ませて並ぶ人の列が出来ていた。
ちょうど忘年会のシーズンという事もあり、駅前とはいえタクシー乗り場はいつにも増してごった返している。
私は1人2人と順番を数えながら列の後ろに並んだ。
(8人目か…)
先頭に並んでいる背広姿の男性は、まだかと腕を組んでイライラしているようだった。
(これだと、いつになるか分からないな…)
ヒマを持て余すためバッグから携帯を取り出した。
友人に愚痴っぽくメールしてみる。
すると、すぐに『途中で捕まえたほうが早いんじゃない?』という返事が返ってきた。
私は返信をしながら、家の方角へと向きを変えた。