詩小説

□左足
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麻痺したその左足は
もう片方に較べて
半分の太さしかなく
握り拳分も短かった。

普通なら嫌がるはずの
体育の時間も
君は屈託もなく
楽し気に見えた。
かけっこはいつも
みんなの背中を
見ながら
追いかけて来る。

運動会の日
左足だけゆるゆるの
決して新しくもない
靴を履いて
いつもの通りに
君はビリだった。
それでも
波打つように
懸命に走る君は
誰よりも
毅然としていて
子供だった
僕の目にも
眩しいくらいに
輝いて見えた。


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