詩小説
□左足
1ページ/2ページ
麻痺したその左足は
もう片方に較べて
半分の太さしかなく
握り拳分も短かった。
普通なら嫌がるはずの
体育の時間も
君は屈託もなく
楽し気に見えた。
かけっこはいつも
みんなの背中を
見ながら
追いかけて来る。
運動会の日
左足だけゆるゆるの
決して新しくもない
靴を履いて
いつもの通りに
君はビリだった。
それでも
波打つように
懸命に走る君は
誰よりも
毅然としていて
子供だった
僕の目にも
眩しいくらいに
輝いて見えた。
→
次へ
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ