書庫2

□Memorise Off 〜これから〜
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『最初から…好きじゃなかったの…』

いのりの声…
遠くに雨の音…
これはあの日の…

見たくない…聞きたくない…。
もう、あんな顔した、いのりを見たくない…

夢なら覚めてくれ…!

「一蹴…」

嫌だ…続けないでくれ…

「一蹴…!」

重く閉じていた瞼をこじ開け、目を擦る…

「夢…か…」

目の前にはいつもと変わらない自分の部屋。
すっかり冷たい空気が部屋に充満している朝。

「寒い……」

もう一度眠りに就こうと思った時、丁度わき腹辺りに違和感を感じ、目線をずらしてみる。

「い、いのり……」

そこにはコートを着たまま俺のわき腹でスヤスヤ眠るいのりが居た…

「いのりさぁーん?」

「んにゅぅ…」

やはり夢の中を満喫中だ…
「いのりー。起きろー」

「んー…一蹴…?おはよ…」

「ハイ、おはよう。ところで何でここに居るのかな?」

いのりはまだ眠たい目を擦りながら、

「一蹴に朝ご飯を作りに…」

「それはありがたい。で?朝ご飯は?」

辺りを見渡しても減ってる物どころか、増えてる物も無かった…

「んにゅぅ……」

また、いのりは夢の中へ旅立って行った…

「寝るなー!」

と、毎朝の会話を今日も行い、そして一段落していた。

時間は既に10時。
今日はバイトも入れて無く、一日中暇な日だ。

すっかり目の覚めたいのりは座っていた俺の目の前に正座を組んだ。

「どうしたんだ…?」

「一蹴…今日は何の日?」
今日?何の日だっけ…? いのりの誕生日…俺の誕生日?いや違う…まてよ…あ、そうか…アレだ

「クリスマスだ!」

今日は12月24日。世間一般にはクリスマスイヴと呼ばれている日だ…
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