書庫 分室

□真っ赤な愛
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その小悪魔の様な眼差し…
その誘惑的な甘い声…

その魅力的な身体に……

男として…俺自身が…
本能が歌恋を求めている。

「……ありがとう」

裸体の歌恋を抱き締める。

「でもな、ここで甘えたらダメなんだ」

俺には分かっていた。
今、歌恋とこの先に進んでしまえば快楽に溺れてしまうと……

「…私の事嫌いかな…?」
耳元で呟かれると…胸が痛む……

「バカ…愛してるよ。

……あー…今、ヤってしまったら……お前の身体にハマって抜け出せなくなる事、知ってるんだよ。
そしたらきっと…曲なんて考えられない……」


「……ありがと、詩音…。でも…ハマって欲しいな…私から抜け出せなくしたい。」


目を瞑ってキスをねだる…その時キュッと服を掴む歌恋が愛しく思えた。

「もう…抜け出せねぇよ」

答える様に口づけを交わす。微かに震えた歌恋の身体を強く抱きしめ、今夜はこのまま眠りに付いた……





「……詩音。」

頬をペチペチ叩かれる感触で目が覚める…

「……おはよう、歌恋。」
カーテンの隙間から溢れる朝の日差しが眩しく、つい目を細めてしまう。


「私、今日は少し実家に戻るね?」


「……ん、あぁ…わかった。」

こうして一緒に住んでいる歌恋は一ヶ月に一度実家へ戻り両親に会っている。
俺とは違い、彼女の家はお金持ちだから。

「じゃあ…行ってくるね?」

少し着飾り薄く纏った化粧…その姿は少しだけ俺を不安にさせる。

歌恋を送り出した後、一人寂しくなった部屋を見渡す…昨日散らかしたのが嘘の様に綺麗に…
机には朝食も用意されていた。

でも、今日はあんまり食欲が無い…
少し頭が揺れ、足元がフラ付く……壁に手をつき頭を押さえる…

「…風邪かな?」


特に風邪をひく理由も見当たらないが今日はゆっくりしよう……
そう思い昨夜作った曲の編曲に取りかかる…


「………少し、違うな…」
なかなか思いどうりにならずに苦悩の色を浮かべ、自分の喉の乾きに気付いた…

「…確か冷蔵庫に…」

立ち上がった瞬間、膝から力が抜けて倒れてしまう。今は何ともない、普通に動かせられる……

「…っ痛…やばいなぁ…」
床に横になったまま、ソファに掛けてあった毛布を手繰り寄せ身体に掛ける…

「少し寝よう…」

このままじゃ危ないと思い、少し眠る事にした。
睡魔は案外早くにやってきて…直ぐに意識は無くなった…
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