書庫 分室

□真っ赤な愛
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「久しぶりだな、歌恋のカレー」

机を挟み向かい合わせに座る二人…食卓にはカレーのいい匂いが立ち込めていた。

「そうだっけ?いただきます」

一口食べて歌恋の表情は優しくて緩む、どうやら上出来な様だ…

「今日、何て言われたの…?」

自分で言うのは少し躊躇いがあったけれど…歌恋にだけは言わないといけない。
「もう…俺の音はダメなんだとさ…それで昔は良かったって嫌味言われたよ。」
カレーを掻き込み落ち込んでなんか無いとアピールする。

「……私は今も昔も詩音の演奏、好きだよ」

「…ありがと、歌恋」


その言葉で気分が楽になった気がする…



晩御飯が終わり、俺はピアノの前へ…歌恋は食器を洗っている。

さっき書いたスコアを弾いて見ることにする。

少し鍵盤を叩きながら一呼吸置く……


「………っ」

スコア通りに鍵盤の上を指が走り…部屋の中はピアノの音一色になった。
時間にしたら三分にも満たない程なのに…異常なまでに疲れてしまう…
妙な頭痛も疲れのせいだろうか…?

最後の音を弾き終えため息一つ……

「ダメだ……指が動かない…」

少しの違いではあるけれど…指がうまく動かない。 それ故に音も変わりダメになる。

「………はぁ。」

ソファに身体を投げ捨てる様に横になる。

「ベッドで寝ないと…風邪引くよ…?」


いつのまにかピンク色のフリルが揺れる寝間着姿になっている歌恋はゆっくり、寝室へ入って行った……


「………寝るか…」


少し具合が悪いのを隠しながら、部屋の電気を消す。寝室に入ると部屋の隅に置いてあるドレッサーの前で歌恋は髪を解かしていた。

それは毎晩の事…何も気にせずにベッドに飛び乗る。

「なぁ…歌恋…」

「なに?」

髪を解かしながら歌恋は聞く

「俺の音…もうダメだって言われた…潮時…なのかな…?」

「自信……無くなった?」

「……俺の音がわからなくなったんだよ…」


「詩音………」

ベッドが軋み沈む…背中から抱き締められ…優しくて甘い香りが鼻腔を擽る。
そして背中に当たる柔らかい豊満な感触……


「…か、歌恋…?」

首を動かし歌恋を見る


「な、何でお前裸なんだよ!」

背中に居る歌恋はいつの間にか一糸纏わぬ、生まれたままの姿をしていた

「…詩音、自信あげるよ」
仰向けにならされ歌恋は俺の上に乗る。
白く穢れを知らないその肌はこの世の物とは思えない程綺麗で……手の平で隠しきれないその乳房には官能的なまでに自慢の長い黒髪が垂れていた…

「…自信って……歌恋…?」

人差し指をそっと俺の唇に押し当てる…


「……しよ…?」
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