短編小説@

□紅の空
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「あぁ、今日も一日が終わるんだな」

先程まで青かった空を見上げ、クロエはそっと呟いた。










紅の空










「クロエ?」

ぼんやりと空を見上げている少女を見つけたセネルは、何を考える事もなく声をかけた。

「クーリッジ……」

セネルの方を向いたクロエは、いつもとどこか違うように見えた。

「何を見ていたんだ?」

「あ、あぁ……いや、ほら……」

慌てたように言葉を紡ごうとするクロエに優しい瞳を向けた。

「……」

その瞳にクロエは口を閉ざし、速くなる鼓動を抑えようとした。

「クロエ?」

「あっ。今日も終わるんだなぁって思って……空を見ていたんだ」

そう言うと、また空を見上げた。

それに倣うようにセネルも空を見上げた。

「綺麗な夕焼け空だな」

「本当だな、クーリッジ」



一緒に空を見上げる。


短い言葉を交わす。


ほんの一時を共に過ごす。



ただそれだけの事が、“幸せ”だと感じた。





「クロエ」

「ん?」

夕陽に照らされた顔。

セネルはクロエの前に手を差し出した。

クロエは、その手を凝視する。

「?」

「これからもよろしく」

「……こちらこそ」

握手。

触れ合った手は、とてもあたたかかった。










神様がいるなら、私は願おう。

また二人でこの空を見られるように、と……。










‡END‡




2005/09/20UP










■□■□■

後書き


超短編。

この話を書いたのは、クロエのキャラクエ前。
UPはキャラクエ後。

もうちょっと何とかしたかった……という反省。

少しでも楽しんで頂けたのなら、光栄です。

何かありましたら、掲示板までお願いします。



槻城花音

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